第78回全国都市問題会議

第78回全国都市問題会議(平成28年10月6・7日) 会派 伊勢崎クラブ

~人が集いめぐるまちづくり~国内外にひらかれた都市の活力創出戦略~
1.集いの場としての多様な『まち』としての役割とは何か
2.集いめぐる場としての意義は都市の活力の源泉である。
3.グローバル化・人口構造、ライフスタイルの変化・イノベーションの展開、浸透・産業や雇用構造の 変化等都市を取り巻く変化が顕著に現れている。
4.人が集いめぐる『まちづくりのために何が必要で重要なのかを考えていく必要が有る。以上をテーマに岡山県で開催され参加研修致しました。

1日目
基調講演はドイツ文学者、エッセイストの池内紀(おさむ)先生をお迎えし「まちの見方、見つけ方」をテーマとし、ヨーロッパのまちは綺麗です。具体的にはドイツは『木組み』のまちであり、ドイツ中央部は統一されているという参考例を報告されました。
権利=義務(倫理・我慢、日本人は鈍感である)という事と日本の国民性の悪い点とは反対に環境・景観についての話の中で、外国は同じ風景ばかりだが、日本の鉄道風景は日本の風土を表していて、車窓からの眺めは同じ風景はなく変化も多く四季がはっきりしている。
この様な利点を生(活)かし、まちづくりにも反映していくべきではないかと考えます。
日本は全体的にこの利点の活かし方があまり上手くないと思います。ですから、先進地の良い例を参考にして具体的にまちづくりを進めていくべきでしょう。

主報告 大森雅夫・岡山市長~人口減少社会における都市の活力創出~
 いつの世も人材育成が必要と犬養毅も 「話せばわかる」と教育した町である岡山市。豊富な医療・介護資源を(活)生かした「ヘルスケア産業」の振興に重点的に取り組むまち、大雨も少なく断層が無い地盤の為まったく地面が揺れない定住移住促進事業『安全・安心で暮らしやすい都市』として平成25年度から移住定住支援室を設け移住定住の促進に積極的に取り組んだ結果同26年度の岡山県への移住者数は1,737人と全国1位と成り特に岡山市への移住が県内の約6割を占めている。

 本年度からは岡山市東京事務所内に『移住相談東京窓口』を新設しこれを通じ県内の自治体と連携した移住相談会やセミナーの共同開催等の取り組みを進め岡山市含め圏域への流れを加速させて行きたいと考えているという事。コンパクトでネットワーク化された快適で多様なまちづくりの為に路面電車の岡山駅前広場への乗り入れ及び吉備線のLRT化の検討を商店街の皆さんと真摯に話し合いながら進めております。

 又、「晴れの国おかやま」と言われる気候特性と平坦な地形をいかし自転車を岡山市にふさわしい交通手段の1つと位置付け、平成24年8月に「自転車先進都市おかやま実行戦略」を策定しその施策の1つとして同25年7月からコミュニティサイクル「ももちゃり」を導入しました。平均利用回数3.5回/台・日、全国トップクラスの値でありエコ環境・健幸にも非常に良い事であります。
又、コミュニティバスの運行路線も幹線・支線に再編して効率を図り生活バスでは地域に利用を働き掛けるなど持続的運行確保の為に地域の方々と共に取り組んでいる所である。

 そして地域によりデマンド型乗合タクシーも導入検討をしております。
又、文化面では岡山の顔は岡山城と言われており、そのエリアはまちづくりのツールであると共に岡山らしさ岡山文化発祥の地である事から、多くの美術館や博物館などの文化施設が集積する歴史文化ゾーンを形成、岡山芸術交流2016初開催し(参考:瀬戸内国際芸術祭)世界で活躍する有名なディレクターを迎え芸術を通じて国境や文化、世代を超えた様々な交流が生まれ、そこから岡山市民が岡山の魅力を再認識・再発見し、誇りをもって国内外へ積極的に発信していくきっかけと成るよう取り組んで行きたいとの事。

 その他地元が生んだオリンピックメダリスト有森ゆう子と一緒に走れ交流を深められるおかやまマラソン、市管理岡山城・県管理日本三大名園後楽園の連携推進協議会の立ち上げにより入場者数もそれぞれ50%・25%増となり連携の大切さを再認識致しました。最後に安心して子育てが出来、若者や女性が輝くまちづくりや建幸ポイントプロジェクトにより歩くことによる運動習慣・健康状態の改善に大きな効果を上げていることから市民全体が主体的に健康づくりに取り組めるような施策を推進していく。(これは適正な医療費にも繋がると思います)そして桃太郎のまち岡山が象徴する、活力と躍動感あふれる都市づくりに邁進していく決意を伺った時、地域の特性を具体的に如何に生かしていくか、先進地岡山を参考に取り組むべき本市の方向性を学べたと感じ実行に向けて諸方面と連携しながら進めて行きたいと思います。

【一般報告】~人を惹き付ける都市空間とその文化力~《法政大学デザイン工学部教授 陣内秀信先生》 
 1)都市の在り方・思想の転換:歴史を考えると1970年代は面白い時代である。「歴史的な物を人々の手に取り戻そう」これはボローニャの成功(歴史的中心に活気が戻る)
 
 2)ヴェネツィア 1周遅れのトップランナーヴェネツィア的な価値1980年代に街づくりのキーワードに五感の都市 日本の良さの発信 まちづくりも同じ 碁盤の目 座標軸をつくりにくい どうすれば良いか?それが本日の講習の意味。(日本とイタリア似ている)
 
 3)歴史的空間の再評価~地方の重要伝統的建造物~                ・文化財保存から歴史・文化を活かしたまちづくりへ:世界に誇る待ち金沢(地形をコスモロジー西欧でもあり得ないもの)
・日本の都市:歴史、地形、風景の多様性を物語る 川越:コンバージョン保存、活用、転用(裏手に木造2Fはレストラン)

 4)異なる価値の共存・併存《日本らしい都市空間》
*和と洋、動と静(住宅地)、表と裏(奥)、聖と俗(ハレとケ)
*二重構造の都市、山の手と下町

 5)南イタリア都市の近年の文化状況:近代都市空間(碁盤目状)に飽き、荒廃していた旧市街へ関心がシフト12世紀のロマネスク教会トラー二、シラクーザ
*港周辺の旧市街に都市再生の動き
*歴史的空間にはドラマ、舞台の楽しさ
*隣地域からのリピーター、週末人が集まる

 6)水辺空間の発見、再生(情報発信基地ニューヨークウオーターランド)
目黒川お台場公園品川大阪・北浜テラス
世界の事例・ロンドン、アムステルダム、オスロ、シドニー、ニューヨーク他
・クリエイティブな都市空間 交流の場、文化発信の場
・高層マンションが並ぶ日本とは違う
*ミズベリング・全国展開・まち起こしの文脈でクリエイティブに・エリアマネジメント
*日本の公共空間は水辺に成立それを取り戻す必要が有る《記憶、ドラマ等、水辺には人を惹き付ける何かが有る》
 7)屋外空間としての活用舞台としての都市 
 8)凸凹地形の再評価坂の有る街の人気《坂ですれ違う君は美しい》
 9)小さなスケールが連動する顔の見える街
 10)田園の風景 地産地消の魅力:安心安全な地元のものを食べよう(農村の魅力)
 11)地域資産を活かした固有性の高いまち・地域づくり:自然資産+歴史文化資産+エノガス(ワイン食文化の連動)

~交流のにぎわいのまちづくり~奈良県橿原市 森下豊市長
『奈良モデル』の推進:橿原市は奈良県と連携し水道事業や消防広域化、ゴミ処理協力等々協力体制や役割分担の方向性を示し相互に連携し事業を進める枠組みを構築し実行していくものです。

 又、市役所の上にホテルを建築する案件は、PFI事業であると共に内閣府モデル事業総合窓口業務ワンストップ化による一箇所集約、ホテル客室数不足を賄うシンボリックなランドマークとして新たな賑わいの拠点となる事が期待されております。
そして医大周辺地区のまちづくりとしては、今まで半分は県外就職をしていた看護師の皆さん等を県内で8割強働きたいと思える病院を平成30年には完成の予定であります。
 
 最後に日本の歴史の始まりであるこの橿原の地に京奈和道が通り日本国創世の時飛鳥をかけた女性たちが日本遺産にも認定されたという喜ばしいニュースも入り『交流と賑わいと活気のあるまちづくり』に後押しされる事を願っております。

~革新的サイバニックシステムによる社会変革・未来開拓への取り組み~
(筑波大学院システム情報工学研究科教授・サイバニクス研究センター長他産官学 重介護の課題→再生治療により不可能を可能に出来る。
社会の仕組みを産業変革・分野開拓出来る仕組み作り。病気の早期発見・病気の予測等こういう症状ならこうするべきではないかと仮説を立て神経系のループ含め医学との連携により治癒させることが出来る。
その他介護士に腰に付ける装着型のロボットやリハビリにも神経系を治癒することも可能なHAL、革新的な技術で世界基準のISOシステムを取り入れ科学技術の最良な使い方を今後実施していく。
今後の課題としては保険対応等々課題解決と世界的なシステムづくりの構築が必要と成るでしょう。


2日目
パネルディスカッションコーディネーターに西村幸夫(東京大学院工学系研究科教授)先生、パネリストに末松則子(鈴鹿市長)~みんなで創り育み成長しみんなに愛され選ばれるまちを目指して~、本間源基(ひたちなか市長)~職住近接のまちづくりと交流の促進による地域の活力の創出~、工藤裕子(中央大学法学部教授)~アート・イベントがもたらす地域への効果と課題~、木村正明(ファジアーノ岡山スポーツクラブ代表)~後発組の挑戦ー子どもたちに夢を!ー~、木下斉(エリア・イノベーション・アライアンス代表理事)~都市間競争時代に求められる「稼ぐ都市づくり」~をそれぞれにお話しされ、西村氏による質疑を通し、理解を深めさせていただきました。