倉敷市ファシリティマネジメント、全国都市問題会議

10月5・6・7日倉敷市ファシリティマネジメント、全国都市問題会議
~人が集いめぐるまちづくり~国内外にひらかれた都市の活力創出戦略

 当該市に於いてファシリティマネジメントの必要性が高まったきっかけは各施設等の老朽化による重大な事故が各地で発生しているという現実を目の当たりにした事に因ります。
各自治体では財源が限られており、全ての要求を予算化することは不可能です。
施設管理全体の、所謂、修繕のマネジメントが出来ていなくては修繕の緊急度や優先順位付けは難しく、やがて老朽化した施設はよりコストを削減するどころか、修繕、及び保全に二度手間、三度手間といった余分な時間と経費がかさんで来ます。
職員の方が身ら建物等点検し分かったことですが非常照明の不点灯等の法令違反や屋上に草が生えている為に水が溜まり雨漏りの原因等に成ったり、建物維持管理の必要性の意識の低さ、自らの知識不足により指定管理者が必要最低限の法令順守を護っていない等問題点が山積しておりました。
しかも、古い建物や設備には、完成図面や完成図書が全て完備されているわけでは有りません。その為に不具合の原因を調査する必要が有ります。

常に管理をきちんとしていれば原因追及も容易に出来た筈です。
修繕の必要性を感じた時に建屋等は点検し易いように造られてはいないと解り、メンテナンスの重要性を肌で感じる事が出来たという事です。
平成19年度に認定ファシリティマネジメントマネジャーを1名採用しスタートし、 同23年度には長期修繕計画室を新設し、建築・機械・電気各技師を各々1名登用し同27年度に現在の公有財産活用室を新設し事務員、土木技師を増員し計16名体制に成りました。
更に今年度人員見直しを図り建築職2名増員、土木職2名減員と成りました。

この間には、平成24年度長期修繕計画室の下、長期修繕計枠の設定と技師による、 枠内査定の実施、同25年度には担当技師が予算査定・契約・執行管理・支払まで、全てを熟す全額配当替えによる修繕執行の一元化を図り、今年度修繕予算を総務費に一元化したという事です。
緊急度含め耐用年数を考慮し費用対効果を勘案し、優先順位を決め、2度手間に成らない様に具体的に計画を立て修繕予算の配分をして行きます。

やがて修繕優先順位付が出来上がります。
そして更に進化を続け、維持管理経費削減として機械警備委託 5年間、昇降機・電気各契約見直し等長期継続契約の活用や複数施設を同時に募集し事業規模を拡大し応募可能性を向上させ、事業費の平準化メリットを優先し、事業期間を設備更新期間に合わせて15年程度とし運転管理の範囲をESCO設備だけでなく施設全体とする『くらしき流ESCO事業』の推進を図り実施していきます。維持継続していくには意識改革として議員・職員研修をし、マンガ・動画・ラジオ等 市民出前講座の実施、特に職員向けには5回の建物維持管理の手引き説明会・実地研修・取説の情報発信等・公共建築物等点検マニュアルを利活用し建物点検報告書を次の点検に活かしています。
そして生まれて来た課題である『データメンテナンスの一元化』の為に平成28年度 6月には公共施設等管理計画が策定されました。
【参照】 公共施設等総合管理の方法と効果

(1)公共施設等総合管理計画の位置づけ 公共施設等総合管理計画は国が作成する、インフラ長寿命化基本計画(基本計画)に基づいて、地方公共団体が策定し地域社会の実情にあった将来のまちづくを進める上で不可欠で、国土強靱化にも資するものとして位置づけられています。倉敷市では、「倉敷市第6次総合計画」「行財政改革プラン2016」「倉敷みらい創生戦略」と整合性を持つ、公共施設等総合管理計画を策定するものとします。
又、これに基づいて学校・園、公営住宅等の公共施設、道路、橋梁、上水道、下水道等のインフラ施設の所管部署が各々個別計画を作成し、企画財政部が取りまとめを行います。 倉敷みらい創生戦略 倉敷市第6次総合計画 行財政改革プラン2016倉敷市公共施設 等総合管理計画 倉敷市公共施設白書より引用。公会計(統一基準モデル)

(2)公共施設等の適正管理に関する基本的な方針
1.個別方針の作成について各所管部署において、次の方針を策定します。 点検・診断等の実施方針 公共施設 学校施設:教育施設課公営住宅:住宅課 清掃施設 :環境施設課その他:公有財産活用室などインフラ下水道:下水施設課、下水建設課 道路:道路管理課公園:公園緑地課 など 維持管理・修繕・更新等の実施方針安全確保の実施方針長寿命化の推進方針統廃合や廃止の推進方針耐震化の実施方針公共施設 既存建築物耐震改修推進委員会 インフラ 各所管部署 ※長寿命化計画の策定 「倉敷市行財政改革プラン 2016」 3-1.-ア 公共ファシリティマネジメントの推進/施設運営方針の見直しにおいて・平成 27 年度 /公園(策定済)・平成 28 年度末/下水道管路・下水処理場・ポン プ場・平成31年度末 /道路ストック(橋梁・トンネルを含む)・学校施設

2.公共施設等全体の方針について
2.-1 公共施設
○ 施設総量の適正化を推進します公共施設の老朽化や財政状況等を勘案すると、現状の施設全てをそのまま維持していくこと は困難と考えており今後の人口減少などにより利用が減少すると見込まれる施設については 集約化や再配置を検討します。又、1つの目的で1つの施設をつくるという考えから、 機能重視の考えに基づく複合化や多機能化を検討します。こうした観点から、施設総量の適正化を、推進します。

○ 点検、診断等の実施方針を作り、安全・適正な状態を保ちます公共施設(学校園、公営住宅、プラント等を除く)の建築・設備の点検に関しては基本的 に公有財 産活用室職員(有資格者及び技師)が実際に行いその結果を施設の所管部署に報告・ 説明し、修繕等の必要がある場合には修繕予算の要求等適正な措置を行い安全 適正に使用できる状態を保つことができるようにします。

○ 既存施設の修繕優先 順位づけと計画的な予防保全による長寿命化を推進します建築設備点検結果に基づ き、修繕対象となる公共施設の現状が人体に及ぼす影響等リスクの度合い劣化緊急の度合い、施設の重要度等により、本市が保有する公共施設の全体について、 俯瞰 的視点から修繕の優先順位付けをおこないます。
又、予防保全を実施することでライフサイクルコスト(※)が低減できる施設を洗い出し、 こうした施設については長寿命化を推進します。

○ 計画的に耐震化を推進します 本市の公共施設の耐震化については「倉敷市耐震 改修促進計画(平成 20 年 3 月)」に基づ いて既存建築物耐震改修推進委員会を中心に計画的に進めています。 学校(高等学校を除く) については耐震化が完了する見込となっており、以降、他 の公共施設(耐震基準の設定がある もの)についても、順次計画的に耐震化を推進します。

○ 維持管理コストを縮減します設備機器の更新に当たっては、省エネルギー効果の ある ESCO 事業(※)等を推進し、また、維持管理業務については、長期継続契約への変更等、契約方法の見直し・効率化等により、維持管理コストの縮減を目指します。

○ 市民ニーズの多様化に対応可能な工法の採用を検討します 今後、更新する施設の用途によっては、可能な限り従来の方式に捉われず、長寿命化が期待できる仕様・方式を検討します。例えば、建築物の躯体(スケルトン)と設備(インフィル) とを一体化しない「スケルトン・インフィル方式(※)」での整備を検討し、間仕切壁の撤去や変更等を容易にすることで、施設の用途変更にも柔軟な対応が可能となるようにします。

○ 環境への負荷を低減する:建物更新時には、太陽光発電をはじめとする自然エネ ルギーの利用等、設計の早い段階での省エネルギー計画に取り組むことを検討します。建物運用段階では、機械設備機器の更新時に ESCO 事業の導入、照明機器の更新時に LED 機器の設置を進め、また、建物の長寿命化を図り更新回数を減らすこと等により、省エネルギーの推進やCO2の削減に取り組み環境にかかる負荷の低減を目指します。

○ 市民協働・官民連携を推進:施設の用途や目的、現状に応じて、地域に施設の 管理・運営を任せる事や、譲渡の検討も行います。 また、施設の更新に当たっては、先ずPPP(※)やPFI(※)などの民間活力の導入の可能性を検討し設計・建設から管理・運営までを民間で行うなど、より効率的な管理・運営を推進し財政支出の削減と平準化を図ります。本市においては平成 26 年に「倉敷市 PFI 活用指針」を策定し、積極的に
地域密着型 PFI(※)の導入に取り組むこととしています。

○ 全庁横断的で一元的な管理を推進:施設に関するデータを一元的に管理し委託業務に関しても量をまとめることや、委託期間を複数年にすることにより経費の削減が期待できるものに関しては、積極的にその手法の採用に取り組みます。
又、施設の集約化 や複合化等による施設の適正配置に向けた取組を全庁的に行うため、全体の取り纏めは 企画財政部が担うものとします。
※ライフサイクルコスト/建築物の設計・建設費などの初期投資、施設の運用開始からかかる維持管理費、改修のための投資や解体のための投資や解体処分までの建築物の、一生に必要な費用のこと。
※ESC事業/省エネルギー改修にかかる費用を光熱水費の削減分で賄う事業のこと。
※スケルトン・インフィル方式/建築物の柱・梁・構造壁・床などの構造躯体をスケルトン、建築物内 の内装・設備・間仕切りなどをインフィルという。通常、スケルトンとインフィルは耐用年数が異なり、スケルトンは長寿命、インフィルは短寿命である。スケルトンとインフィルを分離して建築物を構築し、耐用年数の異なるものの取替え、間取りの変更などを容易にできるようにした方式のこと。
※PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)/従来公共が独占してきた公共 事業、サービ スの提供を、民間の参画によってより良いものにしようという考え方。
※PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)/公共施設等の設計建設維持 管理運営に民間の資金とノウハウを活用し公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図る事業手法。
※地域密着型 PFI/地域の金融機関や地元業者が大手事業者との連携も含めて、幅広く参加する PFI の こと。「倉敷市 PFI 活用指針」から抜粋「地域の金融機関は地元事業者との信頼関係や地域に関わる豊富な情報を有しておりこうした優位性を活かしてPFIに参画することで長期間の安定的な融資先が確保でき、この事により、地域の資金を地域が活用するという資金循環が生み出されます。
また,地元事業者に新たな ビジネスチャンスが創出されることで、地域を取り巻く経済成長や雇用機会の拡大に繋がることが見込まれます。
更に、市にとっても、地域の実情やニーズを把握している地元業者からの質の高い 公共サービスの提供が期待できるものと考えます。」

2.-2 インフラ施設(道路・橋梁・公営企業財産)
○ ストックマネジメントを推進:構造物の状態を客観的に把握・評価し中長期的にコスト縮減を目指したストックマネジメント(※)による取組を推進します。

○ ライフサイクルコストを縮減します今後の財政推計を踏まえたうえで、重大な損傷や致命的な損傷となる前に予防的修繕を実施 することにより健全な状態を維持しながら長寿命化を図り、ライフサイクルコストを縮減します。

○ 適切な維持管理を推進:役割や機能、特性に合わせ補修、更新の実施時期や 最適な対策方法を決定すると共に、これまで実施してこなかったメンテナンスサイ クル(点検→診断→補修・更新→記録)の構築等により適切な維持管理を推進します。

○ 個別計画は公共施設等総合管理計画と整合性を図る:既に策定している計画を基本としながら、当計画との整合性を図り、必要に応じて適宜見直しを行います。
※ストックマネジメント/既存の建築物(ストック)を有効に活用し、長寿命化を図る体系的な手法

3.全庁的な取組体制の構築について これまでの各所管の「部分最適」の考え方から、所管の枠を超えた「全体最適」の視点で公共施設等総合管理計画を推進するための、体制を全市的に構築し企画財政部がその調整を行います。
※公有財産処理委員会の所掌事務の追加 、現在当該市の公有財産の貸付け、処分、及び利用計画等について、その円滑な運用を図るため倉敷市公有財産処理委員会を設置しています。 公共施設等の更新問題について全庁的な対応を図るため、公有財産処理委員会の所掌 事務を追加します。
現在の所掌事務・貸付けに関すること・処分に関すること・利用計画に関すること その他必要な事項追加項目・公共施設等の再配置(集約化・複合化・用途変更等)に関すること

4. 情報管理・共有の方策について、情報管理・共有の方策としては庁内 LAN を活用し本市の全職員が最新の情報を閲覧出来るようにします。
以上
個別施設計画<公共施設>学校・幼稚園 公営住宅 <インフラ施設>道路橋梁